親になれば、誰でも「子どもに幸せになってほしい」と願います。
でも、もしも自分が「良かれ」と思って声をかけて世話をしていたことが、依存心の強い、自立できない子どもに育てていたとしたら…?
この本では、コーチングの技術を応用して、子どもが本来持っている能力を引き出し、子どもが自分で考え、自分で答えを出せる子育て方法が紹介されています。
私が初めてこの本を読んだときは、ものすごく衝撃を受けました。
「もっと早く出会いたかった!」
ここまで明確に、子育てのうえで本当に大切なことが書かれている本に、私は出会ったことがなかったのです。
10年以上保育士をしながら、自分のなかでずっと感じていたことを、この本は見事にわかりやすく、ユーモアを交えて伝えてくれていました。
しかも、単行本ですよ!?
「定価580円(当時は消費税が5%だったかしら…)で、こんなにも大切なことが書いてある本があるなんて!」
と、読み終わったあと、私はその手のひらサイズの小さな本を見ながら、しばらく感動と身が引き締まる思いでいっぱいでした。
では、この本はいったいどんなことが書かれているのでしょうか。
以下、本の目次と内容をお伝えします。
目次
「子どもの心のコーチング」概要と目次
タイトル:「子どもの心のコーチング 一人で考え、一人でできる子の育て方」
発売日:2007年
著者:菅原裕子
出版:PHP研究所
発行形態:文庫
目次:
第1章 親の役割は何?
第2章 子どもに教えたい三つの力
第3章 子どもを幸せにするしつけ
第4章 心を結ぶ聴き方・伝え方
第5章 親の幸せは自分でつくる
1.親の役割とは?
目指すのは子どもの自立。
親はコーチになって、子どもの可能性を開き、社会への送り出します。
「子どもの心のコーチング」より 菅原裕子
私は、著者の菅原裕子さんの講演会に参加したことがあります。
そこで最初に、菅原さんから参加者への質問が。
「あなたは朝、子どもを起こしますか?」
…はい。起こしてます。
当時中学校だった上の子達も、がっつり起こしていました…。
朝、子どもを起こし続けていることでどうなるのかが、この章で書かれています。
あなたは、「親の役割」は何だと思いますか?
生まれて間もない赤ちゃんには、24時間身の回りの保護とお世話が必要です。
でも、小学校・中学校・高校…と成長していくにしたがって、子どもが必要とするものは変わってきます。
自分の子ども時代を思い出すと、口うるさい親が嫌なことってありませんでしたか。
(私は思っていました)
この章では、子どもの成長に伴って変化する親の役割の違いと、親から子どもへの最高の贈り物「サポート」について、わかりやすく書かれています。
2.子どもに教えたい三つの力
子どもたちに、生きるうえでもっとも大切な三つのことを教えましょう。
それは、「愛すること」「責任」「人の役に立つ喜び」です。
「子どもの心のコーチング」より 菅原裕子
生きていると、辛いことや苦しいことがたくさんありますよね。
でもそんなときに自分を支えてくれるのは、「自己肯定感」です。
自己肯定感とは、「自分がまわりに愛されていて、まわりは自分の存在を喜んでいる。いろいろあるけれど私は自分が好きだ」という感覚です。
その自己肯定感は、どのように育っていくのでしょうか。
自己肯定感は、自分を育ててくれる人から愛されることにより育っていきます。
ですが、親自身が自分の親に愛されずに育ち、子どもの愛し方がわからず、苦しみの連鎖が続いていることもあります。
けれども、親が行動することで親自身も子どもの人生も変わるのです。
この章では、子どもに教えたい三つの力「愛すること」「責任」「人の役に立つ喜び」を、どうやって子どもに教えるかが、具体的な例をあげながら紹介されています。
3.子どもを幸せにするしつけ
「しつけ」とは、親の言うことを聞かせることでも、親の思う「いい子」にすることでもありません。
人と一緒に幸せに生きていくためのあり方を教えることです。
「子どもの心のコーチング」より 菅原裕子
「しつけ」と聞いて、あなたはどのようなことが思い浮かびましたか?
私は本を読んでいて、自分のなかの「しつけ」の定義が「まわりの人に迷惑をかけない」など、とてもあいまいだったことに気づきました。
それはそれで大切ですが、「なぜ人に迷惑をかけないことが大切なのか」ということの本質を、私ははっきりと説明できませんでした。
この章では、「子どもを幸せにするしつけ」とはどのようなものか、こちらもたくさんの具体例をあげて紹介されています。
あなたのしつけは、親が理想とする子ども像を基準としていないでしょうか。
あなたも気づいておられると思いますが、「ダメ」と繰り返すだけでは親子の間に溝が深まるばかりですよね。
大人も子どもも幸せな気分でできるしつけの特徴を知って実践していきませんか。
4.心を結ぶ聴き方・伝え方
あふれる思いがあっても、伝える技術がなくては子どもに伝わりません。
親がコミュニケーション上手になるとき、子どももそれを学びます。
「子どもの心のコーチング」より 菅原裕子
この章では、「そもそも人間は人の話を聴いていない」という前提のもと、自分がどれだけ子どもの話を聴けているかがチェックできたり、聴けるようになる技術を5つ紹介されています。
ちなみに、<聴く技術その1>は、「黙る」です。
あなたはどれだけ、黙って子どもの話を聴いているでしょうか。
私は恥ずかしながら、今でもできていないことが多いです。
だからこそ、時々この本を読み直して、「そうだった」と反省しつつ仕切り直しています。
聴く技術その2以下も、実際に子どもと関わるなかでどのように実践したらよいか、とてもわかりやすく書かれています。
5.親の幸せは自分でつくる
子どもの幸せの第一歩は、親自身が幸せな人生を生きること。
そして親自身の幸せは、自分自身でつくるものです。
「子どもの心のコーチング」より 菅原裕子
最後の章のはじめに、
「あなたは自分が好きですか? 自分にそれなりの自信をもっていますか?」
と書かれていて、最初に読んだとき、私は涙が出そうになりました。
あなたはどれだけ、自分のことを好きでしょうか?
2章でも伝えられていましたが、「時にはうまくできないこともあるけれど、これが自分。こんな自分も好き」というのが「自己肯定感」です。
もしも今、親自身が自己肯定感を感じられなくても、子どもに自己肯定感を教える道程が、そのまま親が自分の自己肯定感を育てるプロセスになります。
どうぞこれまでの自分を責めないで。
あなたはその時その時の精一杯で、子どもと向き合ってきたと思います。
自分が自分の人生のこれからを選ぶことができるのですよね。
この章では、親自身が自分を幸せにするうえで大切なことが述べられています。
私はここまで読み進めてきて、「この本は、『親の心のコーチング』でもあるんだなぁ」と、しみじみ感じました。
まとめ
この本のサブタイトルは、「一人で考え、一人でできる子の育て方」です。
けれどもこれは、「誰にも頼らず、自分一人で問題を解決する子に育てる」ということではありません。
そして、時としてサポートが必要なのは、親の方だったりします。
自分の弱さやできないことを認め、心を開いてサポートを求めることは勇気がいることですが、小さなワンアクションから行動してみませんか。
…家族で過ごすことの多い、今の時期。
子どもとの関係をよりよくしたい、など、子どもとの関係に行き詰ったものを感じている方は、一度この本を手に取ってみてくださいね。
この本に書かれていることをより詳しく知りたい、と思われた方は、著者の菅原裕子さんが代表をされているHPがあります。
こちら ↑ のHPに「親と子の自立度チェック」もあるので、ドキドキしながら試してみてはいかがでしょうか。
私ももう一度やってみよう^^
10代、思春期真っ盛りの子どもの心のコーチングもあります。