くすのき しげのりさん作、石井聖岳さん絵の絵本です。
今回はこの「おこだでませんように」について、
読むときの目安時間・対象年齢・絵本のあらすじ・感想をご紹介します。

途中、胸がいっぱいになって、一瞬読めなくなりました。
涙を流しながら最後まで読んだ絵本です。
目次
読み聞かせ時間目安・対象年齢
読み聞かせ時間: 8 分 30 秒
対象年齢: 小学校低学年から
(※読み聞かせ時間は私が読んだときの時間なので、人によって多少変わります)
「おこだでませんように」あらすじ
家でも学校でも、いつも怒られている男の子のお話です。
妹を泣かした、とお母さんに怒られ、学校の友達に乱暴をした、と先生に怒られ、毎日いつも怒られています。
…確かにいますよね、そんな男の子。
「どうしてそんなことするの?」「訳を話してごらん」
そうお母さんや先生に聞かれても、なにも言わずに、怒って横を向いている「ぼく」。
そして、七夕の日。
「ぼく」は短冊に、あるお願いを書きました。
それを見た先生は泣き、先生から話を聞いたお母さんは「ぼく」を抱きしめてくれました。
「ぼく」のお願いは何だったのでしょうか。
「おこだでませんように」感想
7月7日。
保育園や小学校では、七夕の短冊にみんなでお願いごとを書きます。
幼稚園だと、女の子は「おかしやさんになりたい」。
男の子は「サッカーせんしゅになりたい」というようなことを書いていて、ほほえましいです。
でも、いつもお母さんや先生に怒られていた「ぼく」が書いたお願いごとは、
「おこだでませんように」。
この「ぼく」の、心からの一番のお願いは、「おこられませんように」だったのです。
本当はいつも、お母さんに笑っていてほしい。
先生にもほめてもらいたい。
そう思っているのに、お母さんや先生が「ぼく」を見るときは、いつも怒った顔。
「ぼくはどないしたら おこられへんのやろ」
「ぼくはどないしたら ほめてもらえるのやろ」
「ぼくは…『わるいこ』なんやろか…」
その「ぼく」の苦しくて重たくて悲しい気持ちが、この短冊にあらわれていて、短冊を見た瞬間、私も胸がいっぱいになりました。
でも、お母さんも先生も、「ぼく」を嫌いな訳ではないんですよね。
「ぼく」の思いが、お母さんと先生に届いて本当に良かった。
以下、作者 くすのき しげのりさんが、あとがきに書いておられる言葉の一部です。
子どもたちひとりひとりに、その時々でゆれうごく心があります。
そして、どの子の心の中にも、このお話の「ぼく」のような思いがあるのです。
どうか、私たち大人こそが、とらわれのない素直なまなざしをもち、子どもたちの心の中にある祈りのような思いに気づくことができますように。
くすのき しげのり
まとめ
この絵本は、子どもたちに、というよりもむしろ、大人に読んで欲しい絵本だなぁ、と思いました。
怒りたくて怒っているお母さんはいません。
怒りたくて怒っている先生もいません。
けれど、忙しさに追われ、子どもの心が見えなくなっていることもあります。
「最近ちょっと怒りっぽいかも」と思ったときは、この絵本の「ぼく」を思い出して、子どもたちの心をまっすぐに受け止められる自分でありたいと思います。
「おこだでませんように」
おすすめです。