今回はこの「せかいでいちばんつよい国」について、
読むときの目安時間・対象年齢・絵本のあらすじ・3つの魅力をご紹介します。
そして最後に、作者のデビット・マッキーさんが語られた、この絵本ができたエピソードをご紹介します。
目次
読み聞かせ時間目安・対象年齢
読み聞かせ時間: 5分 20秒
対象年齢: 小学校低学年から
(※読み聞かせ時間は私が読んだときの時間なので、人によって多少変わります)
あらすじ
むかし、大きな国があり、人々は「自分たちの暮らしほど素敵な暮らしはない」と固く信じていました。
「我々が征服すれば、世界中の人々が幸せに暮らせるのだ」
と、大統領は、強い兵隊と大砲で他の国へ戦争をしに行き、次々と征服していきました。
そして最後に残ったのは、あまりに小さいのでこれまでほうっておいた国。
1つだけ残しておくのも気持ちがわるいので、征服するために出発しました。
ところが、この国には兵隊がいないので戦争ができません。
しかも小さい国の人たちから、お客さんとしてもてなしを受けているうちに、大きな国の兵隊たちは小さな国の生活になじんでいきます。
その様子を見て怒った大統領は、たるんでしまった兵隊を送り返して、国から新たに兵隊を呼び寄せることに。
そして最後は、大きな国が小さな国を「征服」し、大統領は大きな国に帰ってくるのですが……。
魅力1.お話の深さに考えさせられる
この絵本、とてもわかりやすく、やさしい言葉でお話が書かれています。
長さも、そんなに長すぎず、わりとすらすら読めます。
絵本の最後はどうなるかというと、大きな国では、小さな国の料理を食べる人や小さな国の服を着る人、小さな国の遊びをする子どもたちが大勢ふえました。
そして大統領も、自分の息子が寝る前に、小さな国の子守歌を歌うのです。
大きな国の大統領は、小さな国のことを「征服した」と思っていますが、果たしてどうなのでしょうね。
子どもたちは、どんな風に感じるかな。
魅力2.淡々と進むのに伝わってくる
この絵本のお話は、淡々と進んでいきます。
最初の戦いのシーン、大きな国の兵隊たちが小さな国の人たちにもてなされるシーン、最後に、大統領が自分の息子に子守歌を歌うシーン。
こんなに淡々と進んでいくのに、どうしてここまでじわりと心に残るのか……。
「戦争はいけない」「争いはやめよう」と、一言も書いていないのに、伝わってくるものがあります。
魅力3.じわりと心に残り続けるストーリー
絵本の最初の見開きページには、大砲の玉が空を飛んでいるような絵が描かれています。
そして終わりの見開きには、明るく輝く太陽と美しい空、そして大地の絵。
「幸せなくらし」ってなんだろう。
という問いが、静かに心に残ります。
まとめ
「せかいでいちばんつよい国」のご紹介をしました。
この絵本を翻訳されたなかがわちひろさんのサイトに、作者のデビッド・マッキーから聞かれた話が載っていました。
原書が出版されたのは2004年。
その後、作者のデビッドは来日したときに教えてくれました。
ブッシュ政権の中東政策に抗議をするために、わずか10日かそこらの猛スピードでこの本を作ったのだと。
けれどその下地には、第二次世界大戦の勝者としてイタリアに駐留し、すっかりイタリア文化に魅せられて帰国した兵士のエピソードがあるとも。
普遍的な問いかけを含む1冊です。
この絵本が作られた背景を、初めて知りました。
改めてこの絵本を読むと、また違ったものが受け取れそうです。
今日ご紹介した絵本の他に、年齢別のおすすめ絵本や、読み聞かせのコツなどをまとめた記事がありますので、こちらもチェックしてみてくださいね。
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